「休養しているとはいえ、龍之介のことが気になるな。
弟子とはいえ、私が教えてやったことは何一つないからなあ。まあ、弟子とは師から技を盗むもの。修行の旅を終えて帰ってきたということは、それなりの収穫があったにちがいない。どれ、龍之介の予想でも 見て見るか」
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「ほほう、今週はよこたんの担当か。なになに。なんと、これは」
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「龍之介から迷いが消えている。何やら自信に満ちているなあ。精神修行を積んできたらしいな。だが、問題は予想の中身だ。直線的な予 想だったのだが」
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『1着になれる馬は2頭しか見当たらぬでござる。クォークスターかトゥザグローリーでござる』
「これは、お見事。以前の龍之介は、軸馬1頭を決め相手数頭へ流すという軸1頭流しマルチという買い方が基本だった。それ が今回は私の得意なフォーメーションを使っている。しかも、1着になれる馬を2頭に絞り込んでいる。まさに、私が考えている理想の馬 券の買い方だ」
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「さらに、2着、3着の受けの広さ。これは龍之介の奴、かなり厳しい修行を積んできたとみえる。私が予想したとしても似たようなもの になるだろう。あっぱれ、龍之介。よくぞここまで成長したものだ」
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「気合も十分。予想も冷静。自信も満々だ。一点をのぞけば、誠に申し分ない」
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「実践から遠ざかっていたので仕方ないが、純粋に馬の実力のみで判断してしまったようだ」
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「危険だ。危険すぎる。勝負を決めるファクターは馬の実力だけではない。それを引き出すジョッキー、実力を発揮できる馬場。これは、距離もしかり直線の距離やコーナーが小回りなどの競馬場別の特性もしかり。出走頭数や有力馬の枠順、その中の馬の脚質などによるレース 展開。そして、今回忘れてはならないのが、重馬場になりそうだということだ」
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「良いのか、龍之介。重馬場を想定した予想になっているのか。このレースは荒れるぞ」
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