そこで、原稿を書いていらっしゃる網焼亭田楽さんという方から、是非お会いしたいというご依頼がありました。そして、さらにそれを対談調に原稿にしようという話にもなりました。というわけで、お会いしたのですが、じつに愉しい時間を過ごす事ができました。
今日は、田楽さんとの対談の様子をお届けします。
◆ ◆ ◆
「はじめまして、辰之進先生。今日はよろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
「実は、この対談はあたしの方からのお願いでして」
「それは光栄です。田楽師匠と対談できるなんて」
「いやあ。下手の横好きたぁよく言ったもんで、
「ほう。馬券の種類はどんなものをお買いなんですか」
「もっばら3連単なんですが、当たったためしがねえ(笑)」
「的中率から言うと、一番むずかしい馬券ですよね」
「ところが、辰之進先生の予想ときたら、ズバズバ当たっちまう」
「それほどでもありませんよ」
「とんでもねえ。あたしから見れば、もはや神業なんですよ。
「よくご存知で」
「チラッと拝見したところ、
「基本的には重賞の予想はしません」
「なぜなんです」
「一口で言うと、旨味がないんです」
「どういうことでしょう」
「私の馬券必勝術の理論は、単純明快です。まず、
「それにしても、
「かなりの高確率で特定できますよ」
「ちょっとだけ教えてもらうわけには、まいりませんか。
「よろしいですよ」
「本当ですかい」
「ええ。荒れる要素はたくさんあるんです。例えば、
「先生、先生。やっばり、よござんす。質問を変えましょう。
「もちろん、立ちますよ。荒れるレースを特定するということは、
「ふむふむ。それで」
「予想手順としては、まず対象のレースが荒れるか荒れないか、
「先週の京成杯は、荒れないと予想されたんですね」
「その通りです。
「そして、日経新春杯は荒れると予想された」
「まあ、どちらかと言えばちょい荒れ予想ですね。
「そして、見事に両方のレースの当たり馬券を的中させた」
「両方取れたのは、ちょっとできすぎですけどね。でも、
「外れに良いも悪いもねえでしょう」
「とんでもありません。予想の外れ方を見れば、
「馬券の予想で、いったい何がわかるというんですかい」
「予想を見れば、その人のレースの狙いがわかります。
「まあまあ、先生。そんなこたぁ、
「えっ。馬券を買う時には、
「こいつぁ驚いた。
「私は、これが商売なのでね。田楽師匠も、
「まあ、
「存じておりますよ。田楽師匠と言えば、新作噺。それに、
「先生がそんな面白いことを言っちゃあいけませんよ。
「ここで、今度は私からのお願いなんですが、
「先生、本気でおっしゃっていますか」
「大真面目ですよ。田楽師匠のようなお方なら、
「よござんす。他ならぬ辰之進先生の頼みとあっちゃあ、
「そんなことをして、大丈夫なんですか」
「と、しゃべりながらも噺の内容を考えているんです」
「即興じゃなくていいですよ」
「そうですねえ。『ギャンブル奉行』なんてのはいかがです」
「わあ。それ、面白そうですね」
「まだ、お題しか言っちゃいませんよ(笑)」
「必ず、作ってくださいね」
「お約束いたします。さて、そろそろ時間ですね。今日は、
「何をおっしゃいますか。こちらこそ、ありがとうございました。
「新作噺なら、任せておくんなさい。それより、
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