2010年1月22日金曜日

対談 「一本気 VS 網焼亭田楽さん」

 私の講座を掲載してくださっている「夢の図書館・ドリームライブラリー」というサイトがあります。
そこで、原稿を書いていらっしゃる網焼亭田楽さんという方から、是非お会いしたいというご依頼がありました。そして、さらにそれを対談調に原稿にしようという話にもなりました。というわけで、お会いしたのですが、じつに愉しい時間を過ごす事ができました。
今日は、田楽さんとの対談の様子をお届けします。

   ◆   ◆   ◆
「はじめまして、辰之進先生。今日はよろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
「実は、この対談はあたしの方からのお願いでして」
「それは光栄です。田楽師匠と対談できるなんて」
「いやあ。下手の横好きたぁよく言ったもんで、
あたしは根っからの競馬好きなんですが、これがなかなか当たらない(笑)」
「ほう。馬券の種類はどんなものをお買いなんですか」
「もっばら3連単なんですが、当たったためしがねえ(笑)」
「的中率から言うと、一番むずかしい馬券ですよね」
「ところが、辰之進先生の予想ときたら、ズバズバ当たっちまう」
「それほどでもありませんよ」
「とんでもねえ。あたしから見れば、もはや神業なんですよ。そこで、予想の仕方を少しだけでも教えてもらえねえかってことなんです。先生は馬券必勝術の講義もなさっていますよね」
「よくご存知で」
「チラッと拝見したところ、本来重賞の予想なんてされちゃあいませんよね」
「基本的には重賞の予想はしません」
「なぜなんです」
「一口で言うと、旨味がないんです」
「どういうことでしょう」
「私の馬券必勝術の理論は、単純明快です。まず、荒れそうなレースを特定する。そして、荒れ方の法則性に沿って馬券を買うだけです。データによりますと重賞は荒れにくいんですよ。つまり、配当もそんなに高配当は望めない。私のお薦めするレースとは少し違うのです」
「それにしても、荒れそうなレースなんて特定できるもんですかい」
「かなりの高確率で特定できますよ」
「ちょっとだけ教えてもらうわけには、まいりませんか。さわりだけでもよろしいんで」
「よろしいですよ」
「本当ですかい」
「ええ。荒れる要素はたくさんあるんです。例えば、牡馬だけのレースよりも牝馬が混じっていた方が荒れやすいですし、斤量にしても定量戦よりもハンデ戦の方が荒れやすい。斤量で言えば、58キロを超える斤量を背負わされると、一番人気の馬でも苦労します。さらに、斤量は馬体重との関連もありますし、距離や出走頭数も荒れ方に影響します。出走馬の脚質も先行馬が一頭の場合や多頭数いる場合、または全然いない場合では、まったく展開が違ってきますし、脚質は枠順にも影響します。その枠順にしたって、競馬場ごとに脚質によって有利不利な枠順がありますし、天候だって左右しますよね。さらに言うならば…」
「先生、先生。やっばり、よござんす。質問を変えましょう。いつもは予想されない重賞の予想をなさる時に、馬券必勝術は役に立つんですかい」
「もちろん、立ちますよ。荒れるレースを特定するということは、裏を返せば荒れないレースも特定できるということです」
「ふむふむ。それで」
「予想手順としては、まず対象のレースが荒れるか荒れないか、またはちょい荒れなのかを判断します」
「先週の京成杯は、荒れないと予想されたんですね」
「その通りです。いわゆるカッチンカッチンのレースというやつですね(笑)」
「そして、日経新春杯は荒れると予想された」
「まあ、どちらかと言えばちょい荒れ予想ですね。配当が100万以上になるレースとは思えませんでしたので」
「そして、見事に両方のレースの当たり馬券を的中させた」
「両方取れたのは、ちょっとできすぎですけどね。でも、2週連続外していたのでそろそろ来るとは思っていましたよ。前週、前々週の外れ方も良かったですしね」
「外れに良いも悪いもねえでしょう」
「とんでもありません。予想の外れ方を見れば、予想した人の技量が、おおよそわかるというものです」
「馬券の予想で、いったい何がわかるというんですかい」
「予想を見れば、その人のレースの狙いがわかります。この馬に全幅の信頼をおいているなとか、人気重視の予想だなとか、前走の成績を考えているなとか、持ちタイム優先とか、好調教の馬を軸にしているなとかですね。差し馬有利と見ているなとか、先行馬が逃げきると予想しているとかですね。それから…」
「まあまあ、先生。そんなこたぁ、調べてみなければわからねえでしょ」
「えっ。馬券を買う時には、それぐらいのことは調べますでしょう」
「こいつぁ驚いた。辰之進先生の強さの秘密を垣間見た気がします」
「私は、これが商売なのでね。田楽師匠も、落語のことを語らせれば、それこそ永遠と語れるのではありませんか」
「まあ、あたしのは落語と言っても古典落語じゃありませんでして」
「存じておりますよ。田楽師匠と言えば、新作噺。それに、なぞかけにしたって、どういう頭の構造をしているとああいうオチを思い浮かぶのか、私には予想がつかない(笑)」
「先生がそんな面白いことを言っちゃあいけませんよ。あたしの立場がねえ(笑)」
「ここで、今度は私からのお願いなんですが、せっかくこうしてお会いすることができましたので、競馬を題材にした新作噺を作っていただけませんか」
「先生、本気でおっしゃっていますか」
「大真面目ですよ。田楽師匠のようなお方なら、競馬を題材にした新作噺を作れるはずです。古典落語には、富くじは出てきても競馬は登場しませんものね」
「よござんす。他ならぬ辰之進先生の頼みとあっちゃあ、断るわけにはまいりません。ここで、お題を決めて起きましょう」
「そんなことをして、大丈夫なんですか」
「と、しゃべりながらも噺の内容を考えているんです」
「即興じゃなくていいですよ」
「そうですねえ。『ギャンブル奉行』なんてのはいかがです」
「わあ。それ、面白そうですね」
「まだ、お題しか言っちゃいませんよ(笑)」
「必ず、作ってくださいね」
「お約束いたします。さて、そろそろ時間ですね。今日は、いろいろタメになる話をお聞かせいただきまして、どうもありがとうございました」
「何をおっしゃいますか。こちらこそ、ありがとうございました。新作噺『ギャンブル奉行』、楽しみにしてますよ」
「新作噺なら、任せておくんなさい。それより、今週のアメリカンJCCと平安ステークスのことなんですがね。えっ。まだ録音中?そいつぁいけねえや。おあとがよろしいようで」

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